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商業施設
商業施設
長野県上田市の塩田平にある独鈷山。そのふもとに広がる雄大な自然の中に、この園舎は位置しています。園児たちは、この山を駆け巡ったり、探検したり、雪が降れば山裾を天然のスキー場としてそり遊びに興じたり、凍った水面で遊んだりと、四季折々の自然を全身で感じながら遊んでいます。夏にはカブトムシやクワガタ、バッタなどの昆虫を探し、秋には栗拾い。五感をフルに使い、泥んこになって遊べる、まさに自然と共に生きる体験ができる恵まれた環境にあります。
この恵まれた環境のなかで、設計を担当した建築士の子どもも日々を過ごしており、そのご縁がきっかけとなって、園舎建て替えという大切なプロジェクトに携わらせていただくこととなりました。
新しい園舎は、0歳から1歳までの小規模保育事業施設と、2歳から5歳までの認可外保育事業施設、それぞれの施設を、中央のウッドデッキによって緩やかにつなぐ構成としています。その形状は、背後にそびえる独鈷山のやわらかな山並みをモチーフに、ふたつの施設が寄り添うようなデザインとなっています。
内外ともに木をふんだんに使用し、温もりを感じられる空間としました。両施設とも、天井の高い開放的な保育室を中心に構成し、給食室や乳児室、トイレなどの諸室との間仕切りには、デンマーク製のヴィンテージ扉や窓を取り入れ、室内の様子が自然と伝わり子どもたちの気配が感じられるデザインとしています。
窓には、断熱性に優れた木製トリプルガラスサッシを採用し、寒冷地でも快適な室内環境を実現。特に未満児が過ごす小規模保育施設には、パネルヒーターを設置し、陽だまりのようなやわらかな暖かさを届けます。
さらに今回は、保護者の協力のもと、特別な取り組みも行いました。園児の保護者が所有する山から木を提供いただき、それを林業を営むまた別の保護者の方が伐採し、製材所への運搬を行いました。伐採から製材、施工に至るまで、多くの人の手を通してつくられた木材は、フローリングや腰板、窓枠などとして園舎の随所に活かされています。
また、卒園児のご家族からの寄付により、園の象徴となるシンボルツリーも植えられました。
たくさんの人々の想いが込められたこの新しい園舎で、子どもたちも先生たちも、これからの日々をのびのびと、そして心豊かに過ごしていってほしいと願っています。
場所 | 長野県上田市 |
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竣工 | 2025年3月 |
構造 | 木造 |
種別 | 新築 |
敷地面積 | 512.36 m² |
建築面積 | 266.64 m² |
延床面積 | 212.66 m² |